携行式ロケット弾や仕掛けられた爆弾によってイラクにおける米軍の犠牲者が増え続け、これまでに戦死者の総数は約四百人。クリントン政権時代にソマリアに派遣されたアメリカ軍が、首都モガディシオにおいて戦死した米兵を市中に引きずり回す映像が報道されたことで撤退を余儀なくされたように、フセイン残党やアルカイダはイラクのベトナム化を図りアメリカ軍に毎日少しずつ出血を強いながら、アメリカ世論をあおって撤退に持ち込もうとしている。派遣された自衛隊員に犠牲が出たら、マスコミは早速大々的に撤退論を報ずることは間違いない。日本は自衛隊を派遣すれば戦死者が出ることは覚悟すべきだし、このことをマスコミもあらかじめ想定して、多数の犠牲者が出た場合でも、これが万が一東京での一般市民であったとしても情緒的な報道は控えるべきである。
イラクでのアメリカ軍の死者が半年で四百人というと凄い数であるが、日本の年間の交通事故の死者は一万人に近く、一ヶ月間でアメリカ軍のこれまでの戦死者の二倍以上の人が亡くなっているのである。しかし、これに対する有効な対策は打たれていない。これまで交通事故による死亡の悲劇の原因は、スピードが速かったとか、よそ見をしていたとか、一旦停止をしなかったとか、酔っ払い運転をしていたとか、すべてを運転者の責任にしてきた。しかし運転者の責任もあるが、道路施設や車両の側にも原因があるのではないだろうか。
私は世界六十四カ国を回り、かなりの国で空港からレンタカーを借りて各国の道路を走ってみたが、近代国家で日本より酷い道路は少ない。二車線と二車線が合流して二車線となる高速道路、路面の状況もガードレールも信号も道路標識も悪く、慢性渋滞で交通事故も起こりやすい。民主党がマニフェストに「高速道路の無料化」を掲げたことから、高速道路無料化についての論議が活発になってきているが、私は道路はもともと無料が原則であって、日本のような高額料金を取る道路は世界中を探しても無いと思う。料金が高い上に、毎年舗装のやり直しを行わなければ轍が出来て安全な運転ができないような道路を耐久性のある舗装技術が十分確立しているにもかかわらずあえて造っているのは、毎年安定的な補修工事の発注で、天下り先である舗装工事業者の既得権益を守るためである。
夏の暑さで軟弱になるアスファルトの舗装に大型車の走行で轍ができ、雨が降れば、水がたまってハイドロプレーニング現象が起こり、車がコントロールを失い事故が発生する。大型車両と乗用車の車幅の違いから、片側のみのハイドロプレーニング現象となり、車が滑って横向きとなってガードレールにぶつかる。そのガードレールは、今でもほとんど支柱にワイヤーや鉄板を張ったような形態だ。これでは衝突した場所で車が止まってしまい、大きな衝撃によって乗員が致命傷を負ってしまったり、反対車線へと飛び出し大事故となってしまう。F1レースなどサーキットでの高速走行中の大事故をテレビなどでよく見ることがあるが、「車が四散して駄目かな」と思っていると、ひょっこり車からドライバーが出てくる。ガードレールがコンクリートの連続壁で出来ている場合、四十五度よりも浅い角度でぶつかれば車はガードレールを滑って、大破してもドライバーにダメージが少なくて死亡事故にはならない。どうしてこのように欧米では常識の安全なガードレールに設計しないのか。これでは、ドライバーの命を守るガードレールが、既存のガードレール業者を守るものと言われても仕方がない。吸水性の高い耐久力のある舗装にするとともに、道路の両端が排水のためのくぼみでガードレールへ衝突時に角度が高まる危険な設計を、道路両端の排水溝の両端が高くなるように傾斜した溝蓋を設けて衝突角度を下げる設計に改めるべきである。
また一般道でいえば、信号機の問題。世界の中でも日本の信号機ほど見にくいものは無い。ほとんどは目線のはるか上にあって、人に対する注意を払って運転しようとすると信号を見落とし、信号に注意を払って運転すると人を見落とす。日本では「信号に目を奪われて歩行者をはねてしまった」という笑えないケースがかなり多いのではないだろうか。人に気を配ったり、周りの車に気を配ったりしていると、いつの間にか赤信号に気づかずに通過してしまうことがある。多くの欧米の国のように目線の位置に信号があれば、ドライバーは歩行者と信号とを同時に視認することができ交差点での事故が減少する。
道路の欠陥、ガードレールの欠陥、信号の欠陥などを改めるとともに、車の安全に配慮したハイテク装備をすることによって交通事故死者を半減させることができると思う。レーダーを取り付け、前方の車との衝突の危険性を判断して警告し、避けきれない場合はブレーキが自動的に作動する車。GPS衛星を利用したカーナビの原理を応用して他車と自分の車、障害物などの刻々の位置関係を把握し制御する衝突防止システムなどを開発すれば事故はかなり減少する。事故の責任を運転者のみに押しつけ、罰金と減点を科す現在の罰則制度は改めるべきである。
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