| 元谷 |
水上さんは、もともと海外勤務希望だったのですか? |
| 水上 |
ぜんぜん違いました(笑)。
|
| 元谷 |
しかし優秀な方でないと、銀行内で選ばれて留学などさせてもらえません。銀行で留学を経験した社員がアパグループにもたくさんいます。一時期企業の費用で海外に留学させるのが流行でしたが、そういう人ほど早く会社を辞めてしまったり(笑)。優秀な人ほど、海外へ出て自由な空気を吸ってくると、日本の閉鎖的な会社に閉じ込められているのが嫌になって、飛び出してしまうようですね(笑)。でも水上さんは、留学された後も常務まで住友信託銀行にいらっしゃったことが逆にチャンスとなって、あおぞら銀行の社長になったわけですよね? |
| 水上 |
意図していたことではないのですが…(笑)。 |
| 元谷 |
留学後、16年間も海外勤務をされた経験というのは貴重な財産です。ホテル社長ともよく話しているのですが、人生に坂が3つある。上り坂、下り坂の他に「まさか」がある(笑)。世の中、一寸先は闇ですから。私は、非常に運に恵まれてここまでやって来ることができましたが。 |
| 水上 |
いやいや。それは代表の慧眼によるものが大きいですよ。やはり事業を起こされる方というのは、普通の人とは違います。いつもエッセイを拝見して敬服しています。よくもこれだけきちっとした見識を作ってこられたなと。 |
| 元谷 |
海外での経験も非常に事業に役立っています。いわゆるノンリコースファイナンスの概念がまだ日本にはなく、不動産担保融資が主流だった1984年頃に、プロジェクト金融を活用したパートナーシップ事業をアメリカで友人と一緒にやっていました。今やっているSPCを使った不動産証券化による事業は、そのパートナーシップ事業の経験があったからこそ、素早く取り組むことができたものです。バブルの崩壊をいち早く予見して資産を売却し莫大な利益が出たわけですが、そこで航空機のレバレッジドリースを行うことによって、この利益を未来へと先送りできたのもこの経験から。このリースの話は外資が持ち込んできたのですが、私にはすぐに理解できました。でも他の経営者に話しても、なかなかわかってもらえなかったですね。 |
| 水上 |
私が初めて銀行の案件として、レバレッジドリースに取り組んだのは、シンガポールにいた時でした。一九八四年のことです。代表がおやりになったのはいつですか? |
| 元谷 |
1989年頃です。何本も出資して購入したジャンボジェット機を、オランダ航空や英国航空に運用させていました。話を持ってきた外資も、このレバレッジドリースによる節税スキームを売り出し始めたばかりだと言っていました。水上さんが担当されたのは、日本で一般化する随分前の話ですね。 |
| 水上 |
当時のバンカース・トラストがアメリカで出資を募り、借金の部分を我々が担当しました。このレバレッジドリースというのは細部までいろいろと複雑な仕組ですから、細心の注意を払って仕事を進めたことを覚えています。 |
| 元谷 |
私の場合は、そもそもアメリカでパートナーシップ事業を始める時に、日本人でアメリカにいる弁護士を通訳兼仲介者にして、ユダヤの弁護士事務所とプライス・ウォーターの公認会計士に依頼して、この事業の点検を行ったのです。その時にスキームを完全に理解しました。私は子供の時から「なぜなぜ坊や」で、わからないことは人に聞いたり、図書館で調べたりしてとことん理解しないと済まない性格ですから(笑)。だから、レバレッジドリースの話にもさっとのることができたのです。あと、効率の良い投資先として、ハリウッド映画にも投資しました。映画は減価償却が非常に早いですから。 |
| 水上 |
70年代後半から80年代の初めだと、いわゆるスワップ取引がようやく始まりましたね。これは銀行の中でも理解できる人間が非常に少なかった。 |
| 元谷 |
スワップ取引のような商品は、スキームを作る人が一番儲けるのです。それを斡旋するところは確実なさやをとる。もともと片方がハイリスク・ローリターン、片方がローリスク・ハイリターンの仕組です。こういう取引の元をたどっていくと、全部ユダヤの金融資本に行き当たります。彼らは銀行の介在を許すかわりに、ローリスク・ハイリターンの部分を取る。そしてハイリスク・ローリターンの部分が日本にやってくる。デリバティブは理数系でないと理解できないとか、金融工学とか言われていますが、仕組を作った人が得するようにできているのは確かで、それは日本人ではないのです。 |
| 水上 |
なるほど。 |
| 元谷 |
バブルがあって、デフレの極みがあって、この二つは物凄いビジネスチャンスでした。上がった時には売って、下がった時には買って。昨日もアパホテル〈大阪谷町四丁目駅前〉がオープン。ホテル社長が挨拶で、今は潮干狩りだと話していました。100年に1回の大波が来て高値の時にうまく売って、引き潮の安い時にあさりやらを取って(買って)。最近水かさがまた少し増してきたので、買えないですね。日本がまたバブルになると思ったら大間違いです。もはや国際基準の収益還元法という考えからは抜けだせないのだから、ある一定の上限と下限の間で動く事はあっても、そこからはずれて「土地神話の復活」ということはあり得ない。 |
| 水上 |
金利が今後上がることも必至ですし。 |
| 元谷 |
原油価格もとうとう70ドルを越えました。資源価格の高騰はバブルという人もいますが、中国やインドという巨大な人口の国で実需が出ています。そういう需要増が背景にあっての資源価格、原油価格の高騰という解釈をすべきであって、これはバブルではありません。 |
| 水上 |
原油メーカーが、これで大変な利益を上げています。それを消費者に還元するような動きがどこかで出てくるとは思いますが。 |
| 元谷 |
バイオマスなど、代替エネルギーの研究ももっと進むと思いますが、かつてのような原油価格には戻らないでしょう。そう考えると、急速に70ドルをさらに超えて上昇したり、一気に長期金利がかつてのように4〜5%までいってしまうと、日本の景気も失速するかもしれません。 |